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guess I'll hang my tears out to dry

HAND による
¥73,000

吊るされた椅子

最初に脚の先がくるりと曲がったスツールを作りました。

天地が逆になった状態で吊るされているスツールを眺めていたら

なんだかとっても魅了されしまったのは

使い道のなくなった壁に飾られた道具には

機能と造形の因果関係がなくなって

単純に造形として美しいからなのか

役目が終わった道具に尊厳があるからなのか?

 

例えば、大きな木材を挽く鋸は

とても美しい形をしていて

もし、購入したとしてもノコギリとして使うことはないのだけれど

その惹かれる理由を考えてみたりする。

 

椅子も壁に吊るされた状態をスタートとして

デザインしてみたら

その答えがもしかしたらわかるかもしれないと

デザインしてみたのがこの椅子です。

 

それからもう一つ。

 

舞台美術のための椅子をデザインさせてもらう幸福な機会を

何度か頂いていて

 

舞台の椅子は、僕の知っている椅子ではないということ。

 

その椅子を僕が作ったとしても。

 

舞台の為の椅子はダンサー達と共に舞台上で照明に照らされ

音楽という時間の中に生きることで

ひとりの表現者のように振る舞います。

 

そのときの椅子は椅子であり、椅子ではありません。

 

それは決して比喩的な意味だけではなくて

実際に、百八十度ひっくり返され、塀のよう重ねられ

ダンサー達によじ登られ

時に自立することさえ許されないことさえもあります。

 

そして面白いことに、こうやって椅子が非日常的な椅子の役割を演じることで

同時に椅子の本質が炙り出され、今度は逆にその椅子は道具として

代え難い美しさを纏い始めています。

 

この椅子もデザインを行うにあたって

まず、椅子に非日常的な役柄 - 後脚を壁に引っ掛けて、吊るされて収納する -

という役割を与えました。

 

そうすることで椅子の形状は溶解し、機能は白紙へと還元され

それまで見えなかった機能とは乖離したカタチが浮かび上がってきます。

 

この椅子の個性を決定づけた斜めの貫は

ヨーロッパの古民具の椅子にもみられる極めて

機能的な補強としての部材と共通しています。

 

非日常を演じることで生まれた個性が一方で無意識で作られた民具と

共通性を持っている矛盾にこの椅子の魅力があるのかもしれません。

 

木部製作 小原実 長野県安曇野

座編み 菊池和美 長野県軽井沢 

デザイン 須長檀 

 

商品サイズ・仕様について

サイズ:幅 400 x 奥行き 415 x 高さ 820mm SH 420mm
素材:メープル材 

、紙紐
仕上げ:オイル仕上げ
耐荷重:80kg

 

配送について

ヤマト便200サイズにてお送りいたします。

料金に送料が含まれております。

離島へのお届けは別途配送料が加算されますので事前にご相談ください。

 

納期:約2ヶ月
✳︎受注製作のため、納期にお時間をいただきます。

 

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