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もう20年以上も前のことだと思います。
ストックホルム中央駅の広場の地下にデザインとアートの本を専門に扱うお店がありました。まだ、インターネットよりも紙媒体の情報の方が有用だった頃でしたので、足繁く通った思い出があります。そのお店で見つけた今でも大切にしている本があります。それは、ソ連崩壊後、ものを自由に手に入れることができない人たちが自ら作った道具の写真集です。フォークを組み合わせて作られたTVのアンテナ、ビールの王冠を並べたドアマット、洗剤の空き瓶を切ったスコップ、日常に転がっているガラクタをプリコラージュして作られた道具の写真集です。
その多くの道具は、その道具たちが自身で気づいていない美しさを内包しています。きっと、それは必要に迫られてその辺りあるものを組み合わされた道具に意味を見出す人の意識を指すのかもしれませんし、もしかしたらその道具が未知の意味や美を纏っているのかもしれません。それとも道具には日々をたくましく生きる人たちの閃きが同居していて、その気持ちに共感しているのかもしれません。
争いが終わり、美しさや楽しさを共感できる日が早く訪れてほしいです。