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わたしにとって、手芸の根底に流れるものは、生活の循環なんです。昔の人は、破れても、壊れても直して大事に長い時間をかけてモノと向き合っていました。すぐに捨ててしまうことや流行を追って毎年モノを買い換えるようなことは好きではないんです。
ありあわせのもので、一から新しいものをつくることが好きで、小さな生地も捨てることができません。この小さなハギレで、何を作ろうかといつも想像していますし、ミシンを使っている時もそんなことを考えています。
- アトリエもご自身で改装されたんですよね。
はい。家も新築よりもリノベーションが好きなんです。あるものを工夫して作り変えたり、新しいものに生まれ変わる瞬間が面白いですね。
手芸も洋裁に拘らずに編み物やレザークラフトなど色々な分野が混ざて発想を楽しんでいます。
- その発想はどのように生まれたのですか?
モノや素材が一回の役目で用をなくしてしまうのは悲しいですね。幼い頃に読んだ絵本に短くなった鉛筆が捨てられてしまい夜にシクシクと泣いている光景が今でも鮮明に焼き付いています。だからなんでしょうね。一度役割を終えたモノでもほどいたり、縫い合わせたりして別なモノにしてあげたいんです。
- 何回も姿を変えて用を為すことは手芸の醍醐味ですね。
はい。最後は形をなさなくても良いんです。小さく小さくなった本当に小さなハギレはミシンの細かい部分を最後に拭いて、家具は最後は薪にして暖を頂きます。
- ものを慈しむ加藤さんの作り手としての姿勢から生まれたのが、これらのがま口です。どうしても余ってしまう端切れを使うことから始まりました。”ありあわせ”という言葉に詰まったものづくりの魅力を知ることができました。
つづく